シトロエンの正しい乗り方?

CGといえば、日本人自動車デザイナー永島譲二さんが担当する『駄車・名車・古車』というコラムがあります。
美大を出て、アメリカに渡り、その後はオペルやルノーで仕事をした後、BMWに入って5シリーズ(E39)や3シリーズ(E90)、Zロードスターの外観デザインを担当するなどの作品を残されている、傑出した日本人デザイナーで絵も素晴らしい。

今月号によると、永島さんは1980年代の終わりごろパリに住み、なんと個人売買専門誌で探してDSを所有しておられたとか。しかもこの方、新車でも中古車でも日常の足にこき使い、コレクションには興味ない由。

そこに綴られていたDSに対するフランス人の認識に仰天。
皆口をそろえて「あの車はコワれない(エンジンがトラクター並)」「(少し略しますが)ハイドロもまず壊れることはないし、壊れてもポンプを交換すれば事実上新車状態に戻り、経済的」「DSはデカくて人がたくさん乗れるだけが取柄の面白みのない車(えええ?!)だが、中古が安く信頼性が高いから学生に人気がある」などと、我々の崇め奉るDS像とはことごとく正反対のことが述べられていて、ただもう驚くばかり。

また操作が難しい半自動ミッションは、一見さんお断りのギクシャク当たり前の機構で有名ですが、フランス人によるお手本操作では「ふんぞり返るように上体の半分をドア側にあずけるような斜めの姿勢で座り、この世のことはすべて飽き果てたといった感じのかったるそうな手つきでぞんざいにカシャカシャと動かすと、DSはひとつもギクシャクすることなく滑るように快適に走った」とあります。
「要するに気にしなきゃいい、まじめに考えるからギクシャクするので、態度の悪い運ちゃんのようにテキトーに操作すればそれが一番で、ついでに人生なんてこんなものさと、鼻歌混じりに過敏なブレーキも踏む。そういういい加減なパリ野郎風のネジの緩んだ運転をすればちゃんと走る(一部略)」みたいなことが書いてあるのには衝撃を受けました。

この写真はネットからお借りしました。

それにひきかえ日本人は必要以上に車を大事にし、枝葉末節にこだわり、小さな傷や凹みでも速攻で板金工場に入れるし、乗り心地の変化にも一喜一憂、どこかちょっと壊れたりオイル漏れでも見つけた日にはこの世の終わりのように大騒ぎ、暖機はどうだ、赤信号ではDのままかNにするか、駐車時にはATのセレクターとパーキングブレーキどちらが先であるべきか等々、とにかく、パリ人のそれとは似ても似つかぬチマチマした乗り方。
私なんぞはさらにその上を行き、ワイパーを連続作動させるとガラスに傷がつく、ハンドルのいつも触る部分にはテカリが出てイヤ、果ては雨に日は汚れるから乗りたくないなど、上記の正統(かどうかはしらないけれど)シトロエン使いであるパリ人の雑でカッコイイ使い方にくらべると、すべてが滑稽なほど逆でなんとダサイことかと思いました。

シトロエンは車が変態なのではなく、日本人が自ら変態化しているフシがあり、パリでは今も昔も健康で強くて情容赦なくこき使われる道具であるようです。