タイヤショップの謎

タイヤに関して補足。

タイヤ交換をする度にいつも疑問に思うのは──どこのどんな店でも共通しているのですが──車メーカーの指定空気圧など一切関係なしに、パンパンにエアを入れること。

おかげで帰り道は、せっかく新しいタイアのしっとりなめらか感を楽しみたいのに、ポンポン跳び跳ねつつ、どこか腰の浮いたような状態で家まで帰らなくてはならず、まったくありがた迷惑な話です。そして翌日か、最低でも数時間おいてタイヤ内の熱がさめたところで、指定空気圧までエアを抜く作業が毎回必ず待っていて、これが終わってようやくタイヤ交換も完了となります。

そのことが頭にあったので、今回交換したタイヤショップでも作業終了後、車をピットから出して道路側に向けてくれた店員さんが運転席から降りてきたとき「空気圧は今どれぐらいですか?」と聞くと「うちは2.5入れてます!」という弾けるような答えが返ってきました。なんでも2.5ってのは、あまりに無定見でおかしいと内心思いました。

「この車のメーカーの指定では通常は2.0で、後ろに人や荷物を積んだ時や高速を走る場合が2.3なんですけど…」といいましたが、間髪入れず「空気圧は高めのほうがグリップもよく安全ですから!」というざっくりしたお答え。
念のため「新品タイヤだからとか、組んですぐは高めにしないといけないというような理由があるんですか?」と聞くと、「いや、新品だからということはないですよ。新品・中古は関係ないですね」とそこは明言。

「たまに乗り心地が良いからといって低めにされる方もありますけど、あれ危ないですもんね。」と、空気圧はとにかく高いほうが安全で良いと信じ込んでおられるようですが、果たしてそうでしょうか?
「過ぎたるは及ばざるが如し」の喩えのように、私は高すぎる空気圧も危険だと思うのですが。それ以上、その場で反論しようとも思わなかったので店を後にしましたが、案の定、ポンポンと跳ねまくってハーシュネスも強めだし、グリップというより爪立っているみたいで、却って心もとない感じでした。

個人的な考えですが、やはりメーカー指定の空気圧はまずは尊重すべきで、タイヤのグリップは車の特性、サイズや車重、アライメントなどとも深く繋がっている筈で、開発やテストを経て総合的に決定されたものだと思うし、乗り手の好みで多少増減するにしても、あくまで指定値を基準に置くべきと思います。

今どきはゴルフ以上に小型・軽量の車も数多く、そういう車にも一律に2.5なんてやっていたら、いざというときに却って本来のグリップは得られないなど危険ではないかと思います。写真で見たことがありますが、必要以上に高い空気圧で使ったタイヤはトレッドの中央部分だけが摩耗していて、トレッド全体で均等に路面をグリップしていないことが明らかでした。いうなれば細くて硬くて、ただサイドウォールだけが砕けないというだけのタイヤで走っているようなものです。

繰り返しますが、これはどこのタイヤショップでも同じで、経験上メーカーの指定通りに空気圧を調整してくれた店は、過去一軒もないのはまさに謎です。

我々のように空気圧ひとつでもこだわるクルマ好きならいいけれど、何も知らないドライバーが新しいタイヤだからと、雨天や高速などで安心して曲がったりハンドルを切ったりすることを思うと、却って危険な気がして「タイヤのプロ」としてはいささか雑な認識ではないかと思えてなりません。